銀魂新ED
銀魂の新EDについて書いています。
ネタバレしていますので、注意してください。
ネタバレしていますので、注意してください。
まさか、3年Z組でくるとは、思いも寄りませんでした。
しかも、写真でつづっていくクラスの思い出みたいな感じでしたね。
土方さんは、どの写真も素敵なお姿でした。
あの方には、スキがないのでしょうか?
特にお気に入りは、バスケットの写真ですね。
桂君を振り切って、ダンクシュートっていうのでしょうか?それを決める瞬間の土方君、ほれぼれしました。
一時停止にして、じーっと見てしまいました。
そして、その後ろでハチマキ巻いて頑張っているエリザベスの姿が、可愛いです。
あの子も3年Z組だったのね。
EDとっても楽しめました。
アレって、毎週写真が変わるってコトはないのかしら。
ちょっと希望。
しかも、写真でつづっていくクラスの思い出みたいな感じでしたね。
土方さんは、どの写真も素敵なお姿でした。
あの方には、スキがないのでしょうか?
特にお気に入りは、バスケットの写真ですね。
桂君を振り切って、ダンクシュートっていうのでしょうか?それを決める瞬間の土方君、ほれぼれしました。
一時停止にして、じーっと見てしまいました。
そして、その後ろでハチマキ巻いて頑張っているエリザベスの姿が、可愛いです。
あの子も3年Z組だったのね。
EDとっても楽しめました。
アレって、毎週写真が変わるってコトはないのかしら。
ちょっと希望。
-
2007/01/11 |
- 銀魂 |
- Comment: 0 |
- − | [Edit]
- ▲
二人の土方さん
10月19日(木)の「銀魂」は、煉獄関でしたね。
30分でまとめられてしまって、ちょっと残念でした。
しかーし、鬼道丸の声が中田譲治さんでした。
この方は「PEACE MAKER鐡(くろがね)」で、土方歳三さんの声をやっていらっしゃいます。
思わぬところで、二人の土方さんの声を聞けて嬉しかったです。
(そこなの?とツッコまないでくださいませ。そこなんです。)
十四郎さんは、この日は、けだるい感じがしたのですが、気のせいだったでしょうか。
「PEACE MAKER」の土方さんも、色っぽいですね。
お薦めです。(どういう?)
やはり黒の着流しで(十分、前ははだけていますよ)、煙草は煙管ですね。
長い黒髪が、風になびいています。
史実の土方さん設定なので、十四郎さんよりも年上ですね、きっと。
30分でまとめられてしまって、ちょっと残念でした。
しかーし、鬼道丸の声が中田譲治さんでした。
この方は「PEACE MAKER鐡(くろがね)」で、土方歳三さんの声をやっていらっしゃいます。
思わぬところで、二人の土方さんの声を聞けて嬉しかったです。
(そこなの?とツッコまないでくださいませ。そこなんです。)
十四郎さんは、この日は、けだるい感じがしたのですが、気のせいだったでしょうか。
「PEACE MAKER」の土方さんも、色っぽいですね。
お薦めです。(どういう?)
やはり黒の着流しで(十分、前ははだけていますよ)、煙草は煙管ですね。
長い黒髪が、風になびいています。
史実の土方さん設定なので、十四郎さんよりも年上ですね、きっと。
-
2006/10/20 |
- 銀魂 |
- Comment: 0 |
- − | [Edit]
- ▲
ジャンプ、買いました。
先週と今週、ジャンプを買ってしまいました。
どうしても、コミックスの発売まで待てませんでした。
もちろん「銀魂」のために買いました。
この衝動に走ったのは、「聖闘士☆星矢」以来です。
で、「銀魂」ですが。
切ないですね、何かみんなが・・・。
銀さんと土方君の距離が、凄くよすぎて、堪らないです。
どうしても、コミックスの発売まで待てませんでした。
もちろん「銀魂」のために買いました。
この衝動に走ったのは、「聖闘士☆星矢」以来です。
で、「銀魂」ですが。
切ないですね、何かみんなが・・・。
銀さんと土方君の距離が、凄くよすぎて、堪らないです。
-
2006/09/11 |
- 銀魂 |
- Comment: 0 |
- − | [Edit]
- ▲
連載・銀色旅行5の補足

一旦、終わったお話だったのですが、あれからSKIPはどうにも切なくって。
「おまけ」の回のお話を書いたら、銀さんと土方さんが幸せそうだったので、ますます暗くなってしまいました。
アホです。
で、あの最終回から続きのお話です。
実は最終回を考えた時、こちらも同時に考えていました。
赦してくださる方だけどうぞ。
「北の国で」
−今解き放つ 籠の外へ−
北の港町に降り立った坂田銀時は、そこからバスに乗って桂小太郎に教えてもらった旅館へと向かった。
「北へ行くことがあったら、ここを宿にすると良い」
と彼に、地図を渡された。
南の桜はとっくに散ったのに、北国の花は今を盛りに咲き誇っていた。
土方十四郎が亡くなっても、時はきちんと流れ春が来たのが、不思議だった。
「こんなに明るい季節に、来るべきじゃなかったかな」
と銀時は独りごちた。
だが、バスの外を見るとあちらこちらに戦の傷跡が残っていて、それが満身創痍の土方の姿と重なって銀時は顔を背けた。
やはりこの地は生々しくて、訪ねるのは早かったのかもしれない。
宿の女将に桂の名を告げると、
「新政府の大将さんね」
と言って笑った。
「そ。向こうは偉くなっちゃったけどね、俺はただの街の万事屋(よろずや)だから」
銀時の言葉に寂しさを感じたのか、女将は、離れの部屋にもう一人桂の知り合いが泊まっていると言った。
銀時は、顔をしかめた。
こんな所まで来て、新政府の人間と顔を合わせるのは嫌だった。
何となく、仇のような気がした。
部屋に案内される時、その離れの部屋を横目で見た。
大きな庭に面した・・・と、その景色に見覚えがあった。
銀時は引き寄せられるようにふらふらと、そちらの方へ歩いて行く。
「間違いない」
今は桜の花のせいで華やかな雰囲気だが、その庭は確かに桂と土方が会っていた、あのDVDに映っていた場所であった。
あの時の暗い空、残雪のわびしい光景はなかったが。
ふと銀時は、離れの部屋を見た。
(どんな奴が、泊まっているんだろう。
できたら、部屋を代わってもらいたい)
朝な夕なこの景色を眺めながら、自分に向かって語りかけてくれた土方の姿を思い出していたいと、切実に願った。
銀時は、障子越しに部屋に向かって声をかけた。
が、人のいる気配がしない。
出かけているのかと、がっかりしていると、コツンコツンという音がする。
「?」
と音のする方を見る。
すると向こうから、松葉杖だろうか、それにすがりながらこちらへ歩いて来る人がいる。
「やめてくれよ」
銀時は切なくなる。
DVDの中、土方が背を向けて去って行った方向から現れるなんて、まるであいつが帰って来たみたいじゃないか。
たぶん、この離れの部屋に泊まっている人間だろう。
その男が立ち止まり、着流しの懐から何やら取り出した。
ごそごそと動いていたと思ったら、ちょっと顔を上げ空へ向かって、紫の煙を吐いた。
「煙草か・・・ふうん」
銀時の目は、その男に釘づけになった。
彼のその仕草が、DVDの中の土方と重なった。
青く暖かい春の空へ、煙草の煙が吸い込まれていく。
そこへ桜の花びらが、ひらりと舞い下りてくる。
手を伸ばして、それを受ける男。
DVDの中の土方と、ぴったりと重なった。
手を伸ばして、雪を受けていた土方の姿と。
だが、人違いかもしれないという恐れが、銀時の喉を締めつけてしまってその人の名を呼べない。
彼でなかったら、きっと自分はもうその場に立ってはいられない。
ただ黙って、その男の方へ歩みを進めた。
男も、気配を感じて銀時の方を見た。
(彼は俺を見て、どんな表情をしている?)
だがその人は松葉杖をつきながら、一生懸命回れ右をして逃げようとしている。
「ああ、俺だってこと、わかったんだ」
銀時は走り出した。
男のすぐ後ろに立つ。
「十四郎・・・」
その名をずっと声に出して言っていなかったから、うまく呼べたかどうかわからない。
だが、彼は動きを止めた。
彼を怯えさせないように、銀時はゆっくりと前へ回る。
男は、顔をうつむけたままだ。
その顔にかかる髪が・・・。
「髪が・・・伸びたね、十四郎」
今度は、声がかすれてしまった。
松葉杖にすがっている土方の腕を、優しく掴む。
少し強い風が、吹いた。
まだ冬の気配を残しているそれは、頬に冷たかった。
慌てて銀時は、自分の胸の中に土方を抱き込んだ。
風が彼を連れ去ってしまいそうで、怖かった。
桜の花びらが舞う中、銀時は「ごめん」と「ありがとう」を繰り返す。
「ごめん」は抱きしめた土方に、「ありがとう」はたぶんこの世のどこかにいる神様に。
いや、ヅラに言うべきなのかな。
土方は、と言えば、ずっと銀時の腕の中で「駄目だ」と言っていた。
執務室で、桂は受話器を置いた。
戦時中、世話になった北の国の旅館の女将からだった。
「もう絶対に、離すなよ、銀時」
ルール違反だとは思ったが、桂は会見のすぐ後に、録画された土方の銀時へのメッセージを見てしまった。
もしも土方が銀時の一番大切なものだとしたら、友人である自分は彼からそれを奪うことはできない。
迷っているうちに、新政府軍の憎しみの銃弾が、土方を貫いてしまった。
虫の息になっている彼に治療を施し、あとは彼の運に任せることにした。
「この北の地で、あがいて生きていけ、と桂は言ったんだ」
「うん」
銀時は、背を桜の木に預けて座っている。
その膝の上に、土方を座らせている。
銀時の腕が、彼を抱きこんでいる。
「それが、彼の復讐だそうだ」
言ってから土方は顔を歪めて、銀時を見た。
「痛エよ・・・」
銀時は土方の手を握りしめ、足はしっかりと土方の腰を抱えこんでいた。
「だって、手を繋いだだけじゃ、おまえ、逃げちゃいそうだから」
土方はため息をついた。
「おまえは江戸、今は東京っていうんだっけ?
そこへ帰れ」
「何で?」
「おまえには、あそこに生きる場所があるだろ」
「ここにもあるよ。
おまえの隣」
「駄目だ」
またその言葉を、土方は繰り返す。
「俺は、もう死んだんだ」
「てめエ、生きることをあきらめちまったのか」
銀時の声が、怒気を含んでいる。
「俺が生きているとバレたら、近藤さんが処刑されてしまう
俺を生かした、桂だって」
銀時は、土方の髪を手で梳いた。
「味方もいないこの地で、おまえを独りぼっちになんかさせられない」
何とかして、銀時を言いくるめなくてはと思う土方だったが、彼自身わかっていた。
自分の言葉は全て、自分への言い訳なのだと。
自分と銀時の心を止める力になど、なっていないのだ。
二人は生きて再び、出会ってしまったのだから。
「戦が終わって新しい世の中になって、皆、自分の幸せを探し始めた。
おまえだって、そうしていいんだ」
銀時の顔が土方の顔に、近づいてくる。
土方は真っ直ぐ、銀時の目を見た。
ごまかすことのできない自分の心が、映っていた。
銀時の唇が、土方の唇を捕らえた。
口づけは深く濃く、波のように土方の唇から身体へと、引いては押し寄せる。
(どうしよう、銀時。
俺はもう、幸せを見つけちまった・・・)
風が二人の仲を妬んだのか、桜の枝を揺らした。
花びらが二人の間を邪魔するようにはらはらと落ちてきても、二人が離れることはなかった。
北の地に国をもらうことはできなかったが、海の見える町に小さな家を借りた。
水族館を建てる代わりに、金魚鉢をひとつ買った。
金魚をその中に入れて、
「あ、しまった」
と銀時が言う。
「何?」
「多串(おおぐし)君は、金魚を育てるのがうまいんだよ。
この金魚鉢、すぐに小さくなっちまうな」
銀時は悪戯っぽい目で、土方を見た。
「懐かしい名前だな」
土方がくすくす笑った。
「今日、ひとつ、笑ったね」
銀時が、土方をその笑顔ごと抱きしめる。
そうやってひとつひとつ、笑顔が増えていけばいいと思う。
今日ひとつ笑ったら、明日はふたつ笑えるように。
たぶん、笑顔になれない日もあるだろう。
そうしたら、また一からやり直す。
そんなささやかな時を積み重ねていく暮らしが、北の町から始まった。
(おわり)
☆ あとがき
皆様、SKIPのわがままにつきあって、最後まで読んでくださってありがとうございました。
しかし、この二人がこのまま大人しく、余生を送るとは思えないですね。
トラブルに突っ込んで行ったり、呼び寄せたりと、大暴れな日々を送ったと思います。
(勝手な想像)
「北へ行くことがあったら、ここを宿にすると良い」
と彼に、地図を渡された。
南の桜はとっくに散ったのに、北国の花は今を盛りに咲き誇っていた。
土方十四郎が亡くなっても、時はきちんと流れ春が来たのが、不思議だった。
「こんなに明るい季節に、来るべきじゃなかったかな」
と銀時は独りごちた。
だが、バスの外を見るとあちらこちらに戦の傷跡が残っていて、それが満身創痍の土方の姿と重なって銀時は顔を背けた。
やはりこの地は生々しくて、訪ねるのは早かったのかもしれない。
宿の女将に桂の名を告げると、
「新政府の大将さんね」
と言って笑った。
「そ。向こうは偉くなっちゃったけどね、俺はただの街の万事屋(よろずや)だから」
銀時の言葉に寂しさを感じたのか、女将は、離れの部屋にもう一人桂の知り合いが泊まっていると言った。
銀時は、顔をしかめた。
こんな所まで来て、新政府の人間と顔を合わせるのは嫌だった。
何となく、仇のような気がした。
部屋に案内される時、その離れの部屋を横目で見た。
大きな庭に面した・・・と、その景色に見覚えがあった。
銀時は引き寄せられるようにふらふらと、そちらの方へ歩いて行く。
「間違いない」
今は桜の花のせいで華やかな雰囲気だが、その庭は確かに桂と土方が会っていた、あのDVDに映っていた場所であった。
あの時の暗い空、残雪のわびしい光景はなかったが。
ふと銀時は、離れの部屋を見た。
(どんな奴が、泊まっているんだろう。
できたら、部屋を代わってもらいたい)
朝な夕なこの景色を眺めながら、自分に向かって語りかけてくれた土方の姿を思い出していたいと、切実に願った。
銀時は、障子越しに部屋に向かって声をかけた。
が、人のいる気配がしない。
出かけているのかと、がっかりしていると、コツンコツンという音がする。
「?」
と音のする方を見る。
すると向こうから、松葉杖だろうか、それにすがりながらこちらへ歩いて来る人がいる。
「やめてくれよ」
銀時は切なくなる。
DVDの中、土方が背を向けて去って行った方向から現れるなんて、まるであいつが帰って来たみたいじゃないか。
たぶん、この離れの部屋に泊まっている人間だろう。
その男が立ち止まり、着流しの懐から何やら取り出した。
ごそごそと動いていたと思ったら、ちょっと顔を上げ空へ向かって、紫の煙を吐いた。
「煙草か・・・ふうん」
銀時の目は、その男に釘づけになった。
彼のその仕草が、DVDの中の土方と重なった。
青く暖かい春の空へ、煙草の煙が吸い込まれていく。
そこへ桜の花びらが、ひらりと舞い下りてくる。
手を伸ばして、それを受ける男。
DVDの中の土方と、ぴったりと重なった。
手を伸ばして、雪を受けていた土方の姿と。
だが、人違いかもしれないという恐れが、銀時の喉を締めつけてしまってその人の名を呼べない。
彼でなかったら、きっと自分はもうその場に立ってはいられない。
ただ黙って、その男の方へ歩みを進めた。
男も、気配を感じて銀時の方を見た。
(彼は俺を見て、どんな表情をしている?)
だがその人は松葉杖をつきながら、一生懸命回れ右をして逃げようとしている。
「ああ、俺だってこと、わかったんだ」
銀時は走り出した。
男のすぐ後ろに立つ。
「十四郎・・・」
その名をずっと声に出して言っていなかったから、うまく呼べたかどうかわからない。
だが、彼は動きを止めた。
彼を怯えさせないように、銀時はゆっくりと前へ回る。
男は、顔をうつむけたままだ。
その顔にかかる髪が・・・。
「髪が・・・伸びたね、十四郎」
今度は、声がかすれてしまった。
松葉杖にすがっている土方の腕を、優しく掴む。
少し強い風が、吹いた。
まだ冬の気配を残しているそれは、頬に冷たかった。
慌てて銀時は、自分の胸の中に土方を抱き込んだ。
風が彼を連れ去ってしまいそうで、怖かった。
桜の花びらが舞う中、銀時は「ごめん」と「ありがとう」を繰り返す。
「ごめん」は抱きしめた土方に、「ありがとう」はたぶんこの世のどこかにいる神様に。
いや、ヅラに言うべきなのかな。
土方は、と言えば、ずっと銀時の腕の中で「駄目だ」と言っていた。
執務室で、桂は受話器を置いた。
戦時中、世話になった北の国の旅館の女将からだった。
「もう絶対に、離すなよ、銀時」
ルール違反だとは思ったが、桂は会見のすぐ後に、録画された土方の銀時へのメッセージを見てしまった。
もしも土方が銀時の一番大切なものだとしたら、友人である自分は彼からそれを奪うことはできない。
迷っているうちに、新政府軍の憎しみの銃弾が、土方を貫いてしまった。
虫の息になっている彼に治療を施し、あとは彼の運に任せることにした。
「この北の地で、あがいて生きていけ、と桂は言ったんだ」
「うん」
銀時は、背を桜の木に預けて座っている。
その膝の上に、土方を座らせている。
銀時の腕が、彼を抱きこんでいる。
「それが、彼の復讐だそうだ」
言ってから土方は顔を歪めて、銀時を見た。
「痛エよ・・・」
銀時は土方の手を握りしめ、足はしっかりと土方の腰を抱えこんでいた。
「だって、手を繋いだだけじゃ、おまえ、逃げちゃいそうだから」
土方はため息をついた。
「おまえは江戸、今は東京っていうんだっけ?
そこへ帰れ」
「何で?」
「おまえには、あそこに生きる場所があるだろ」
「ここにもあるよ。
おまえの隣」
「駄目だ」
またその言葉を、土方は繰り返す。
「俺は、もう死んだんだ」
「てめエ、生きることをあきらめちまったのか」
銀時の声が、怒気を含んでいる。
「俺が生きているとバレたら、近藤さんが処刑されてしまう
俺を生かした、桂だって」
銀時は、土方の髪を手で梳いた。
「味方もいないこの地で、おまえを独りぼっちになんかさせられない」
何とかして、銀時を言いくるめなくてはと思う土方だったが、彼自身わかっていた。
自分の言葉は全て、自分への言い訳なのだと。
自分と銀時の心を止める力になど、なっていないのだ。
二人は生きて再び、出会ってしまったのだから。
「戦が終わって新しい世の中になって、皆、自分の幸せを探し始めた。
おまえだって、そうしていいんだ」
銀時の顔が土方の顔に、近づいてくる。
土方は真っ直ぐ、銀時の目を見た。
ごまかすことのできない自分の心が、映っていた。
銀時の唇が、土方の唇を捕らえた。
口づけは深く濃く、波のように土方の唇から身体へと、引いては押し寄せる。
(どうしよう、銀時。
俺はもう、幸せを見つけちまった・・・)
風が二人の仲を妬んだのか、桜の枝を揺らした。
花びらが二人の間を邪魔するようにはらはらと落ちてきても、二人が離れることはなかった。
北の地に国をもらうことはできなかったが、海の見える町に小さな家を借りた。
水族館を建てる代わりに、金魚鉢をひとつ買った。
金魚をその中に入れて、
「あ、しまった」
と銀時が言う。
「何?」
「多串(おおぐし)君は、金魚を育てるのがうまいんだよ。
この金魚鉢、すぐに小さくなっちまうな」
銀時は悪戯っぽい目で、土方を見た。
「懐かしい名前だな」
土方がくすくす笑った。
「今日、ひとつ、笑ったね」
銀時が、土方をその笑顔ごと抱きしめる。
そうやってひとつひとつ、笑顔が増えていけばいいと思う。
今日ひとつ笑ったら、明日はふたつ笑えるように。
たぶん、笑顔になれない日もあるだろう。
そうしたら、また一からやり直す。
そんなささやかな時を積み重ねていく暮らしが、北の町から始まった。
(おわり)
☆ あとがき
皆様、SKIPのわがままにつきあって、最後まで読んでくださってありがとうございました。
しかし、この二人がこのまま大人しく、余生を送るとは思えないですね。
トラブルに突っ込んで行ったり、呼び寄せたりと、大暴れな日々を送ったと思います。
(勝手な想像)
-
2006/09/04 |
- 銀魂 |
- Comment: 2 |
- − | [Edit]
- ▲
連載・銀色旅行・おまけ

JUMP SHOP & animate
銀さんと土方君が仲良く、2つのお店を訪問しました。
「土方くーん」
機嫌のいい時は、坂田銀時の土方十四郎を呼ぶ声が、少し鼻にかかった甘いものになる。
だから、土方も市中見廻り中ではあったが、柔らかな表情で彼の方を振り返った。
土方に駆け寄って来た銀時が、固まってしまう。
「十四郎、おめエ・・・その顔は、一種の兵器だから」
「なーに、言ってんだ?
それより、何か用があるんじゃなかったのか」
えへへと笑って、銀時は
「バイト代が入ったからさ、ジャンプショップ、行こうぜ。
いやあ、前から行きたかったんだよね」
と土方の腕を取った。
「おいおい、その金、家賃とか従業員の給料に回すべきじゃないのか」
「俺達のグッズもあるらしいよ」
すかさず、銀時が耳元でささやく。
「ま、たまにはそっちも見廻っておいた方がいいよな」
土方がにやりと笑って言った。
八月に入ったばかりの暑い夏の日のことだった。
〇 JUMP SHOP
二人がやって来たのは、東京ドーム近くのジャンプショップ。
平日であることと、開店直後だったためか、店内は空いていた。
店に入ってすぐのところ、目の前に「銀魂」グッズが並んでいる。
「いやあ、目につきやすいところにあるねえ、嬉しいねえ」
銀時はご機嫌だ。
「アニメも始まったし、順調だね、銀さん」
茶化す土方。
「では、ちょっと宣伝をば。
『銀魂』は只今、テレビ東京にて
毎週火曜日 夜7:00〜放送中
尚、10月からは
毎週木曜日 夕方6:00〜
に変わるので、よろしく!
みんな、観てくれよな!」
「何その無駄な、さわやかさ!?
目もキラめいちゃって。
みんな、『真選組』の活躍も期待してネ!」
「ネ!って、何だよ。
おまえのキャラじゃないじゃん」
店の入口でキャッキャッと騒いでいる二人はうっとうしかたったが、ジャンプの人気キャラでもあるので、店の人達は何も言えなかった。
「あ!」
土方が、何か見つけたらしい。
「可愛いなあ。
洞爺湖(とうやこ)の耳掻きだよ、コレ」
「説明しよう。
土方君が言っている『洞爺湖』とは、俺(銀さん)の愛木刀のことである」
「そのミニチュアで、耳掻きだってさ。
イイね」
と、土方は耳掻きが気に入ったようである。
土方は視線を、銀時の木刀に移した。
「え?何?
土方君、その目は何と言っているのかな」
「いや、その木刀も」
「も、って何?
えーと、これは耳掻きじゃないから。
第一、誰が使うの?
こんなデカい耳掻き。
耳、串刺しだよ。
毎回、血みどろだよ」
「象さん・・・」
「象さん用の耳掻きでも、無エ!」
「火曜いーじゃん」仲間ということで、「BLEACH」コーナーへ。
「あ、そうだ、今月は『BLEACH』23巻の発売日だった」
「銀時、『銀魂』の発売日はどうなっているんだ?」
「14巻は9月4日
15巻は11月2日の発売予定になってまーす」
「柳生編、いよいよバトルに突入だな」
「土方君、カッコいいよねー」
「ふふん」
「・・・少しは謙遜しろよ」
「BLEACH」はさすがに、品揃えが豊富だ。
「ね、土方は、誰のファンなの?」
ちょっとそわそわしながら、銀時は土方に訊いてみた。
「俺は・・・」
SKIPは
浦原喜助(うらはらきすけ)さんですね。
捕らえどころのないところが、いいですねえ。
頼りになるし、策士ですし。
それから九番隊副隊長・檜佐木修兵(ひさぎしゅうへい)君なんて、どうでしょう。
「目つきの悪い綺麗な子」ということで、誰かさん達と似てますね。
ちなみに、TVのオリジナル・「バウント篇」の之芭(のば)の声が杉田智和さん。
銀さんの声だということに、最近気がつきました。(大ボケです)
銀時と土方が次に向かったのは、池袋だ。
○ animate(アニメイト)
「来たぜ、アニメイト池袋本店だあ!」
と叫ぶ銀時。
「さすがに、デカいな」
「アニメ化された俺達も、堂々と入ることができるぜ。
土方ー、俺達もとうとうココまで来たなあ」
苦笑する土方であった。
「あ!マヨネーズ立てだ。
買わなくちゃ」
と土方が、マヨネーズ立てを手に取った。
「えっ?だって、マヨネーズ、立ててる暇もないでしょ、マヨラー君」
「う・・・確かに。
じゃあ、コレ。
錦絵だって。
近藤さん、おっとこまえ!だよな。
屯所の机の上に、飾ろうかな」
「おまえは、そういうこと、平気で俺の前で言うわけ?」
「じゃあ、隣におまえの」
「やめろ。ゴリラと並べるな」
「ゴリラでもなあ、俺にとっちゃ大事な大将なんだよ!」
「ゴリラって認めてるし。
しかも、何ですか、のろけているんですかっ!」
はあっと大きなため息をつく、土方。
嫉妬してくれるのは、嬉しいのだが・・・。(嬉しいのか?)
「ほら、銀時、パフェグラスがあるぞ。
コレって、オープニングの時に使ったものなのか?」
と土方は、話題を変えた。
「形は同じだよな」
銀時はパフェグラスの近くに置いてある物に、目がいく。
「土方君、どんぶりがあるよ。
アレ?この柄は、いつも行く定食屋のどんぶりと同じじゃねエか?」
「ふむ。芸が細かいな」
「宇治銀時丼(うじぎんときどん)、食いたくなっちまった」
「いや、やはりこのどんぶりだったら、マヨネーズの黄色が似合うな。
土方スペシャル、一丁!」
「アニメイトで、出てきませんから」
「ところで銀時、さっきからごっさ視線を感じるんだけど」
「おまえが、ごっさって・・・」
「こうしよう、せーので二人同時に振り向くぞ」
「後ろにいるのは、赤い着物の女か?」
「ハイ、せーの」
と二人で振り向いた。
途端に上がった、マヨネーズ色の歓声。
自分達を取り囲んでいる乙女の皆さん達を前に、二人は
「こ、こんにちは・・・」
と声を合わせて、挨拶するしかなかった。
「こんにちはっ!」
と返ってくる挨拶。
皆、礼儀正しい。
でも、訊くことは訊いてくる。
「二人で仲良く、お買い物ですか?」
「デートですよね、ステキ!」
「お互いに、何て呼び合ってるの?」
だんだん、乙女達は間合いを詰めて来る。
危機感を抱いた銀時は、さっと土方の手を取ると、その場を逃げ出した。
「わあ!やっぱり、銀×土よー!」
などという言葉が、後ろからドカンドカン撃たれる。
そして、二人の行く手を阻む乙女達。
と、土方がふうわりとチョコレートパフェのような(銀時の最高の褒め言葉)笑みを浮かべて、彼女達に言ったのだ。
「すまねエな、通してくれる?」
通すも何も、乙女達は失神してしまったものだから、二人それを飛び越えて、無事に店の外に出た。
「やっぱ、おまえのその笑顔、凶器だよ」
「どうせ、目つきが悪いさ」
「いや、そうじゃなくって」
わかってないならまあいいや、と銀時はまだ自分が土方の手を握っていることに気がつく。
土方も振り払わないから、ドキドキしてしまう。
いつもと同じ日々の間に、こんな日があってもいいと思う。
銀時は握った手に、力をこめた。
彼を、人ごみの中で見失わないように。
(おわり)
☆ あとがき
たまには、こーんなカップルを描くのもいいかな、と思いまして。
しかし・・・恋愛甘々ものは自分には描けないということを、思い知りました。
ヘタで申し訳ありませんでした。
最後までおつきあいくださって、ありがとうございました。
機嫌のいい時は、坂田銀時の土方十四郎を呼ぶ声が、少し鼻にかかった甘いものになる。
だから、土方も市中見廻り中ではあったが、柔らかな表情で彼の方を振り返った。
土方に駆け寄って来た銀時が、固まってしまう。
「十四郎、おめエ・・・その顔は、一種の兵器だから」
「なーに、言ってんだ?
それより、何か用があるんじゃなかったのか」
えへへと笑って、銀時は
「バイト代が入ったからさ、ジャンプショップ、行こうぜ。
いやあ、前から行きたかったんだよね」
と土方の腕を取った。
「おいおい、その金、家賃とか従業員の給料に回すべきじゃないのか」
「俺達のグッズもあるらしいよ」
すかさず、銀時が耳元でささやく。
「ま、たまにはそっちも見廻っておいた方がいいよな」
土方がにやりと笑って言った。
八月に入ったばかりの暑い夏の日のことだった。
〇 JUMP SHOP
二人がやって来たのは、東京ドーム近くのジャンプショップ。
平日であることと、開店直後だったためか、店内は空いていた。
店に入ってすぐのところ、目の前に「銀魂」グッズが並んでいる。
「いやあ、目につきやすいところにあるねえ、嬉しいねえ」
銀時はご機嫌だ。
「アニメも始まったし、順調だね、銀さん」
茶化す土方。
「では、ちょっと宣伝をば。
『銀魂』は只今、テレビ東京にて
毎週火曜日 夜7:00〜放送中
尚、10月からは
毎週木曜日 夕方6:00〜
に変わるので、よろしく!
みんな、観てくれよな!」
「何その無駄な、さわやかさ!?
目もキラめいちゃって。
みんな、『真選組』の活躍も期待してネ!」
「ネ!って、何だよ。
おまえのキャラじゃないじゃん」
店の入口でキャッキャッと騒いでいる二人はうっとうしかたったが、ジャンプの人気キャラでもあるので、店の人達は何も言えなかった。
「あ!」
土方が、何か見つけたらしい。
「可愛いなあ。
洞爺湖(とうやこ)の耳掻きだよ、コレ」
「説明しよう。
土方君が言っている『洞爺湖』とは、俺(銀さん)の愛木刀のことである」
「そのミニチュアで、耳掻きだってさ。
イイね」
と、土方は耳掻きが気に入ったようである。
土方は視線を、銀時の木刀に移した。
「え?何?
土方君、その目は何と言っているのかな」
「いや、その木刀も」
「も、って何?
えーと、これは耳掻きじゃないから。
第一、誰が使うの?
こんなデカい耳掻き。
耳、串刺しだよ。
毎回、血みどろだよ」
「象さん・・・」
「象さん用の耳掻きでも、無エ!」
「火曜いーじゃん」仲間ということで、「BLEACH」コーナーへ。
「あ、そうだ、今月は『BLEACH』23巻の発売日だった」
「銀時、『銀魂』の発売日はどうなっているんだ?」
「14巻は9月4日
15巻は11月2日の発売予定になってまーす」
「柳生編、いよいよバトルに突入だな」
「土方君、カッコいいよねー」
「ふふん」
「・・・少しは謙遜しろよ」
「BLEACH」はさすがに、品揃えが豊富だ。
「ね、土方は、誰のファンなの?」
ちょっとそわそわしながら、銀時は土方に訊いてみた。
「俺は・・・」
SKIPは
浦原喜助(うらはらきすけ)さんですね。
捕らえどころのないところが、いいですねえ。
頼りになるし、策士ですし。
それから九番隊副隊長・檜佐木修兵(ひさぎしゅうへい)君なんて、どうでしょう。
「目つきの悪い綺麗な子」ということで、誰かさん達と似てますね。
ちなみに、TVのオリジナル・「バウント篇」の之芭(のば)の声が杉田智和さん。
銀さんの声だということに、最近気がつきました。(大ボケです)
銀時と土方が次に向かったのは、池袋だ。
○ animate(アニメイト)
「来たぜ、アニメイト池袋本店だあ!」
と叫ぶ銀時。
「さすがに、デカいな」
「アニメ化された俺達も、堂々と入ることができるぜ。
土方ー、俺達もとうとうココまで来たなあ」
苦笑する土方であった。
「あ!マヨネーズ立てだ。
買わなくちゃ」
と土方が、マヨネーズ立てを手に取った。
「えっ?だって、マヨネーズ、立ててる暇もないでしょ、マヨラー君」
「う・・・確かに。
じゃあ、コレ。
錦絵だって。
近藤さん、おっとこまえ!だよな。
屯所の机の上に、飾ろうかな」
「おまえは、そういうこと、平気で俺の前で言うわけ?」
「じゃあ、隣におまえの」
「やめろ。ゴリラと並べるな」
「ゴリラでもなあ、俺にとっちゃ大事な大将なんだよ!」
「ゴリラって認めてるし。
しかも、何ですか、のろけているんですかっ!」
はあっと大きなため息をつく、土方。
嫉妬してくれるのは、嬉しいのだが・・・。(嬉しいのか?)
「ほら、銀時、パフェグラスがあるぞ。
コレって、オープニングの時に使ったものなのか?」
と土方は、話題を変えた。
「形は同じだよな」
銀時はパフェグラスの近くに置いてある物に、目がいく。
「土方君、どんぶりがあるよ。
アレ?この柄は、いつも行く定食屋のどんぶりと同じじゃねエか?」
「ふむ。芸が細かいな」
「宇治銀時丼(うじぎんときどん)、食いたくなっちまった」
「いや、やはりこのどんぶりだったら、マヨネーズの黄色が似合うな。
土方スペシャル、一丁!」
「アニメイトで、出てきませんから」
「ところで銀時、さっきからごっさ視線を感じるんだけど」
「おまえが、ごっさって・・・」
「こうしよう、せーので二人同時に振り向くぞ」
「後ろにいるのは、赤い着物の女か?」
「ハイ、せーの」
と二人で振り向いた。
途端に上がった、マヨネーズ色の歓声。
自分達を取り囲んでいる乙女の皆さん達を前に、二人は
「こ、こんにちは・・・」
と声を合わせて、挨拶するしかなかった。
「こんにちはっ!」
と返ってくる挨拶。
皆、礼儀正しい。
でも、訊くことは訊いてくる。
「二人で仲良く、お買い物ですか?」
「デートですよね、ステキ!」
「お互いに、何て呼び合ってるの?」
だんだん、乙女達は間合いを詰めて来る。
危機感を抱いた銀時は、さっと土方の手を取ると、その場を逃げ出した。
「わあ!やっぱり、銀×土よー!」
などという言葉が、後ろからドカンドカン撃たれる。
そして、二人の行く手を阻む乙女達。
と、土方がふうわりとチョコレートパフェのような(銀時の最高の褒め言葉)笑みを浮かべて、彼女達に言ったのだ。
「すまねエな、通してくれる?」
通すも何も、乙女達は失神してしまったものだから、二人それを飛び越えて、無事に店の外に出た。
「やっぱ、おまえのその笑顔、凶器だよ」
「どうせ、目つきが悪いさ」
「いや、そうじゃなくって」
わかってないならまあいいや、と銀時はまだ自分が土方の手を握っていることに気がつく。
土方も振り払わないから、ドキドキしてしまう。
いつもと同じ日々の間に、こんな日があってもいいと思う。
銀時は握った手に、力をこめた。
彼を、人ごみの中で見失わないように。
(おわり)
☆ あとがき
たまには、こーんなカップルを描くのもいいかな、と思いまして。
しかし・・・恋愛甘々ものは自分には描けないということを、思い知りました。
ヘタで申し訳ありませんでした。
最後までおつきあいくださって、ありがとうございました。
-
2006/08/30 |
- 銀魂 |
- Comment: 0 |
- − | [Edit]
- ▲
連載・銀色旅行5(最終回)

最後になってしまいましたが、
サブタイトルは、「銀魂」アニメのオープニング曲「Pray」から引用しています。
告知が遅くなってしまって、申し訳ありません。
銀色旅行、遂に最終回です。
今までありがとうございました。
死にネタです。
苦手な方は、ご注意ください。
「北へ」
−冷たい記憶の闇 切り裂いて−
北の大地の雪解けの便りが届く頃、旧幕府軍は敗北した。
敗残兵を乗せた護送船が、首都の近くの港に着く。
「今日も来ている」と、港の役人達がつつき合った。
港には旧幕府の軍人の中に、息子や夫を捜す年寄りや女達が集まって来る。
もちろん野次馬も。
その中に、銀色の天然パーマの若い男がいつもいた。
誰よりも熱心に、憔悴しきった男達の顔を一人一人、確かめている。
全ての敗残兵が護送車に乗せられて立ち去ってしまうと、その銀髪の男は港の隅によろよろと座り込んでうなだれてしまうのだった。
「銀さん、帰りましょう。
もう今日は、船は着きませんよ」
夜、誰もいない港へ、志村新八(しむらしんぱち)と神楽(かぐら)は坂田銀時を迎えに来ていた。
新八に声をかけられても、身じろぎもしない銀時の前に神楽がしゃがみこんで、彼の手に自分の手を重ねた。
自分よりもずっと小さい神楽に手を引かれて歩いて行く銀時の後ろから、新八がついて行く。
新政府に投降した旧幕府の軍人達が、東京(江戸)に送られて来る。
真選組も還って来た、ただ一人を除いて。
そして、銀時はそのただ一人の男(ひと)を港(ここ)へ捜しに来ている。
「真選組副長、土方十四郎・・・」
新八は、ため息と共にその人の名をつぶやいた。
「銀さん、あの人はもう・・・」
亡くなったのだ、という言葉を新八は呑み込んだ。
弾丸さえも刀で叩っ切ったという土方は、最前線に飛び込んで敵の集中攻撃を受けた。
鬼と呼ばれた男らしい、戦場での凄まじい死に様だった。
軍神を失って、旧幕府軍は降伏した。
土方の死は、テレビでも新聞でも報じられた。
銀時も目にした。
それでも、彼は港に土方の姿を捜しに来ている。
港の噂を聞きつけて、桂小太郎(かつらこたろう)は人を遣った。
「銀時、やはりおまえだったか」
「ヅラ、おまえも偉くなったもんだな。
俺を呼びつけるとは、よぉ」
桂は執務室で、久しぶりに友と対面した。
「ヅラじゃない、桂だ」
昔は指名手配をかけられどんなに窮地に追い込まれても、桂は友人である銀時には自分から会いに行ったものだ。
だが、今では政府の要人となっているので、自由に動き回ることは許されない。
「誰を捜している?銀時」
銀時は答えずに、鼻をほじっている。
「土方・・・か?」
銀時が桂を睨んだ。
「図星・・・か」
桂は納得すると、一枚のDVDを机の引き出しから取り出した。
「実は、総攻撃の前に彼に会った」
「え?」
そこに録画されていたのは、まだ雪の残る北の大地だった。
秘密裏に会っている二人の男。
桂と土方だ。
銀時は、食い入るように見詰めた。
「土方は優秀な軍師でな。
あいつが出て来ると、勝てなかったよ。
あの北の地まで追い詰めたっていうのに、こっちの方が焦ってた」
桂が感心したように、言ってくる。
桂と土方の話の内容は、やはり和平に向けてのことだった。
「桂、この土地、俺達にくれないかなあ」
と土方がのんびりと言う。
「ひとつの国に、二つの政府があっては困る」
桂が厳しい顔で返した。
そのうちに命の交渉に入ると、時々、土方が桂に詰め寄る場面もあった。
その時、土方が片足を引きずっていることに、銀時は気がつく。
「あーあ、また怪我、増やしちゃって」
苦笑した銀時の顔が、次の土方の言葉で凍りつく。
「じゃあ、いいな。
真選組の局長または副長、どちらかの死が認められた場合、他の幹部及び隊士を処刑することを赦さず」
ダン!
大きな音が自分のすぐそばでしたかと思うと、桂は胸倉を銀時に掴まれていた。
銀時が、桂の執務用の机に飛び乗っていた。
「土方が、近藤の首を差し出すと思うか!?
てめエ、あいつを追い込んで殺すために、あんな約束をしたんだなっ!」
「そうとってくれて、構わない。
真選組は、攘夷志士達の憎悪の対象だ。
誰かの血を見なければ、終わらなかった。
土方(あいつ)は自分の命と引き換えに、大切なものを護ったんだよ」
桂を殴ろうとした時、
「銀時・・・」
ささやくような、だが間違いなく自分を呼ぶ土方の声を聞いて、銀時はテレビの方を振り返った。
すると画面の中、土方がはにかんだような表情でこちらを見ていた。
「桂がおまえと友達だっていうからさ、ちょっと甘えさせてもらった」
銀時が、桂を見る。
桂がうなずいた。
「おまえへのメッセージを、遺していったんだ」
銀時は机の上から下りると、ふらふらとテレビに近寄って行く。
「十四郎・・・」
桂は黙って部屋を出た。
二人きりにしてくれたのだった。
「おまえ、怒っているだろうな、ホテルに独りで残してきちまったから」
久しぶりに見る土方は、戦を幾つもくぐり抜けてきたせいだろうか、精悍な顔つきになっていた。
あの三日間の旅行の後、彼の上には確実に時が流れその中で生きたのだ。
時を止めてしまった自分とは大違いだと、銀時は自嘲した。
土方は煙草を一本取り出すと口にくわえ、火をつけた。
煙をふうっと吐き出す。
その香りを、銀時は思い出す。
「あの三日間で、俺は俺の中に残ってた愛情っていうモンを、全ておまえに注いだ。
おまえからも、たくさん愛してもらった。
だからさ、銀時、俺を独りでいかせたことを、後悔しなくていいんだぜ」
銀時はテレビの画面に向かって手を伸ばし、土方の頬に触れた。
彼の体温を感じたのは、気のせいだろうか。
「それにここだけの話、俺は奴等に簡単にこの命くれてやるつもり、無エから」
勝ち気な土方の目が、キッと細められる。
「銀時、俺さ、こっちに来てから夢を持ったんだ」
「ふうん、どんな?」
銀時は、土方の唇の上に自分の頬をのせて、彼に尋ねる。
「桂は、駄目だって言ったけどな。
この地が、俺達の国になったら」
土方の低い声が、銀時の耳をくすぐる。
「おめエを呼ぶ」
銀時の体が揺れた。
「こっちにはさ、水族館もないらしいぜ。
一緒に造ろうか」
土方が、煙草の煙を吐き出している音―。
銀時の心臓の音―。
それからこれは・・・北の地を渡って行く風の音だろうか。
「さあてと、いつまでも女々しいから、俺、行くわ」
銀時が慌てて顔を上げる。
「じゃあな、銀時。
元気で。
迎えに行くよ、いつか」
土方が背中を向ける。
ちょっと顔を上げ空へ向かって、紫の煙を吐いた。
空は、墨を混ぜたような重たい色をしていた。
そこへ雪が、ひらりと舞い下りてくる。
手を伸ばして、雪を受ける土方。
「北の春は遠いなあ。
だが、この雪がある間は生きていられる。
桜は見られないだろう・・・な」
土方が、歩き出す。
片足を引きずってはいるが、堂々とした後ろ姿だ。
江戸の街を巡回していた頃よりも、一回り大きくなったような気がする。
そして、背負っているものも多くなった。
「十四郎」
銀時が小さく呼びかけると、テレビの中の土方は後ろを向いたまま、片手を挙げてバイバイと振った。
戻ることのない道を、彼は胸を張って歩いて行く。
その背中が、どんどん小さくなっていく。
それを、愛しげになでている銀時。
「弾丸に貫かれて、痛かっただろう。
独りで逝くのは、寂しくはなかったか、怖くはなかったか?
やはり、俺は後悔してしまうよ。
そばにいてやれなくて、ごめん」
部屋を出ると、桂が待っていた。
「土方との約束、守るんだろうな」
「当たり前だ。
まあ、真選組に拘らず、旧幕府軍の誰かを処刑するということは、考えていない」
「それから、このDVD、絶対に真選組には見せるな。
奴等、自分達を責めちまう、特に近藤はな」
「それも承知している」
銀時が行こうとすると、
「おい、俺の頼みも聞いていけ」
と桂が引き留めた。
「新しい政府は、人材が足りなくてな。
どうだ、俺を助けてはくれないか」
「俺はおまえ達と一緒に、戦っていないぜ」
「白夜叉は、攘夷戦争の英雄だ」
「よせよ、柄じゃねエ」
銀時は薄く笑うと、出口へ向かった。
銀時を、人々は気味悪がって避けて行く。
大の男が、ぼろぼろと涙をこぼしながら街を歩いて行くからだ。
「十四郎、おまえに出会って、俺は生きる悦びを知った。
だけど、今は哀しくて寂しくて、どうしようもない」
東京の街を行く人達は、江戸の頃から何も変わっていない。
土方が死んでも、人々はこのごみごみとした街で、昨日の延長線上を生きて行く。
「呼ばれちゃいねエけどよ、来てやったぜ」
銀時は、北の大地に立っていた。
DVDに映っていた雪も、暗い空も、そこにはなかった。
代わりに、本土よりもだいぶ開花の遅い桜の花が、銀時を迎えた。
土方が見たがっていた、満開の北の桜−。
どこの桜よりも強くてたくましくて、まるで彼のようだ。
銀時はここで何かをしようと、思っているわけではない。
ただ、土方が生きた最後の地を、この目で見たかったのだ。
彼が何を見て、何を感じたのか。
彼と似ている自分なら、わかるような気がした。
彼の想いと一緒に、ここでしばらく生きてみようと思った。
(おわり)
☆あとがき
皆さん、最後まで読んでくださってありがとうございました。
初めての「銀魂」の二次小説でした。
暗くてすみませんでした。
次回、「おまけ」の回では、別の明るいお話になります。
敗残兵を乗せた護送船が、首都の近くの港に着く。
「今日も来ている」と、港の役人達がつつき合った。
港には旧幕府の軍人の中に、息子や夫を捜す年寄りや女達が集まって来る。
もちろん野次馬も。
その中に、銀色の天然パーマの若い男がいつもいた。
誰よりも熱心に、憔悴しきった男達の顔を一人一人、確かめている。
全ての敗残兵が護送車に乗せられて立ち去ってしまうと、その銀髪の男は港の隅によろよろと座り込んでうなだれてしまうのだった。
「銀さん、帰りましょう。
もう今日は、船は着きませんよ」
夜、誰もいない港へ、志村新八(しむらしんぱち)と神楽(かぐら)は坂田銀時を迎えに来ていた。
新八に声をかけられても、身じろぎもしない銀時の前に神楽がしゃがみこんで、彼の手に自分の手を重ねた。
自分よりもずっと小さい神楽に手を引かれて歩いて行く銀時の後ろから、新八がついて行く。
新政府に投降した旧幕府の軍人達が、東京(江戸)に送られて来る。
真選組も還って来た、ただ一人を除いて。
そして、銀時はそのただ一人の男(ひと)を港(ここ)へ捜しに来ている。
「真選組副長、土方十四郎・・・」
新八は、ため息と共にその人の名をつぶやいた。
「銀さん、あの人はもう・・・」
亡くなったのだ、という言葉を新八は呑み込んだ。
弾丸さえも刀で叩っ切ったという土方は、最前線に飛び込んで敵の集中攻撃を受けた。
鬼と呼ばれた男らしい、戦場での凄まじい死に様だった。
軍神を失って、旧幕府軍は降伏した。
土方の死は、テレビでも新聞でも報じられた。
銀時も目にした。
それでも、彼は港に土方の姿を捜しに来ている。
港の噂を聞きつけて、桂小太郎(かつらこたろう)は人を遣った。
「銀時、やはりおまえだったか」
「ヅラ、おまえも偉くなったもんだな。
俺を呼びつけるとは、よぉ」
桂は執務室で、久しぶりに友と対面した。
「ヅラじゃない、桂だ」
昔は指名手配をかけられどんなに窮地に追い込まれても、桂は友人である銀時には自分から会いに行ったものだ。
だが、今では政府の要人となっているので、自由に動き回ることは許されない。
「誰を捜している?銀時」
銀時は答えずに、鼻をほじっている。
「土方・・・か?」
銀時が桂を睨んだ。
「図星・・・か」
桂は納得すると、一枚のDVDを机の引き出しから取り出した。
「実は、総攻撃の前に彼に会った」
「え?」
そこに録画されていたのは、まだ雪の残る北の大地だった。
秘密裏に会っている二人の男。
桂と土方だ。
銀時は、食い入るように見詰めた。
「土方は優秀な軍師でな。
あいつが出て来ると、勝てなかったよ。
あの北の地まで追い詰めたっていうのに、こっちの方が焦ってた」
桂が感心したように、言ってくる。
桂と土方の話の内容は、やはり和平に向けてのことだった。
「桂、この土地、俺達にくれないかなあ」
と土方がのんびりと言う。
「ひとつの国に、二つの政府があっては困る」
桂が厳しい顔で返した。
そのうちに命の交渉に入ると、時々、土方が桂に詰め寄る場面もあった。
その時、土方が片足を引きずっていることに、銀時は気がつく。
「あーあ、また怪我、増やしちゃって」
苦笑した銀時の顔が、次の土方の言葉で凍りつく。
「じゃあ、いいな。
真選組の局長または副長、どちらかの死が認められた場合、他の幹部及び隊士を処刑することを赦さず」
ダン!
大きな音が自分のすぐそばでしたかと思うと、桂は胸倉を銀時に掴まれていた。
銀時が、桂の執務用の机に飛び乗っていた。
「土方が、近藤の首を差し出すと思うか!?
てめエ、あいつを追い込んで殺すために、あんな約束をしたんだなっ!」
「そうとってくれて、構わない。
真選組は、攘夷志士達の憎悪の対象だ。
誰かの血を見なければ、終わらなかった。
土方(あいつ)は自分の命と引き換えに、大切なものを護ったんだよ」
桂を殴ろうとした時、
「銀時・・・」
ささやくような、だが間違いなく自分を呼ぶ土方の声を聞いて、銀時はテレビの方を振り返った。
すると画面の中、土方がはにかんだような表情でこちらを見ていた。
「桂がおまえと友達だっていうからさ、ちょっと甘えさせてもらった」
銀時が、桂を見る。
桂がうなずいた。
「おまえへのメッセージを、遺していったんだ」
銀時は机の上から下りると、ふらふらとテレビに近寄って行く。
「十四郎・・・」
桂は黙って部屋を出た。
二人きりにしてくれたのだった。
「おまえ、怒っているだろうな、ホテルに独りで残してきちまったから」
久しぶりに見る土方は、戦を幾つもくぐり抜けてきたせいだろうか、精悍な顔つきになっていた。
あの三日間の旅行の後、彼の上には確実に時が流れその中で生きたのだ。
時を止めてしまった自分とは大違いだと、銀時は自嘲した。
土方は煙草を一本取り出すと口にくわえ、火をつけた。
煙をふうっと吐き出す。
その香りを、銀時は思い出す。
「あの三日間で、俺は俺の中に残ってた愛情っていうモンを、全ておまえに注いだ。
おまえからも、たくさん愛してもらった。
だからさ、銀時、俺を独りでいかせたことを、後悔しなくていいんだぜ」
銀時はテレビの画面に向かって手を伸ばし、土方の頬に触れた。
彼の体温を感じたのは、気のせいだろうか。
「それにここだけの話、俺は奴等に簡単にこの命くれてやるつもり、無エから」
勝ち気な土方の目が、キッと細められる。
「銀時、俺さ、こっちに来てから夢を持ったんだ」
「ふうん、どんな?」
銀時は、土方の唇の上に自分の頬をのせて、彼に尋ねる。
「桂は、駄目だって言ったけどな。
この地が、俺達の国になったら」
土方の低い声が、銀時の耳をくすぐる。
「おめエを呼ぶ」
銀時の体が揺れた。
「こっちにはさ、水族館もないらしいぜ。
一緒に造ろうか」
土方が、煙草の煙を吐き出している音―。
銀時の心臓の音―。
それからこれは・・・北の地を渡って行く風の音だろうか。
「さあてと、いつまでも女々しいから、俺、行くわ」
銀時が慌てて顔を上げる。
「じゃあな、銀時。
元気で。
迎えに行くよ、いつか」
土方が背中を向ける。
ちょっと顔を上げ空へ向かって、紫の煙を吐いた。
空は、墨を混ぜたような重たい色をしていた。
そこへ雪が、ひらりと舞い下りてくる。
手を伸ばして、雪を受ける土方。
「北の春は遠いなあ。
だが、この雪がある間は生きていられる。
桜は見られないだろう・・・な」
土方が、歩き出す。
片足を引きずってはいるが、堂々とした後ろ姿だ。
江戸の街を巡回していた頃よりも、一回り大きくなったような気がする。
そして、背負っているものも多くなった。
「十四郎」
銀時が小さく呼びかけると、テレビの中の土方は後ろを向いたまま、片手を挙げてバイバイと振った。
戻ることのない道を、彼は胸を張って歩いて行く。
その背中が、どんどん小さくなっていく。
それを、愛しげになでている銀時。
「弾丸に貫かれて、痛かっただろう。
独りで逝くのは、寂しくはなかったか、怖くはなかったか?
やはり、俺は後悔してしまうよ。
そばにいてやれなくて、ごめん」
部屋を出ると、桂が待っていた。
「土方との約束、守るんだろうな」
「当たり前だ。
まあ、真選組に拘らず、旧幕府軍の誰かを処刑するということは、考えていない」
「それから、このDVD、絶対に真選組には見せるな。
奴等、自分達を責めちまう、特に近藤はな」
「それも承知している」
銀時が行こうとすると、
「おい、俺の頼みも聞いていけ」
と桂が引き留めた。
「新しい政府は、人材が足りなくてな。
どうだ、俺を助けてはくれないか」
「俺はおまえ達と一緒に、戦っていないぜ」
「白夜叉は、攘夷戦争の英雄だ」
「よせよ、柄じゃねエ」
銀時は薄く笑うと、出口へ向かった。
銀時を、人々は気味悪がって避けて行く。
大の男が、ぼろぼろと涙をこぼしながら街を歩いて行くからだ。
「十四郎、おまえに出会って、俺は生きる悦びを知った。
だけど、今は哀しくて寂しくて、どうしようもない」
東京の街を行く人達は、江戸の頃から何も変わっていない。
土方が死んでも、人々はこのごみごみとした街で、昨日の延長線上を生きて行く。
「呼ばれちゃいねエけどよ、来てやったぜ」
銀時は、北の大地に立っていた。
DVDに映っていた雪も、暗い空も、そこにはなかった。
代わりに、本土よりもだいぶ開花の遅い桜の花が、銀時を迎えた。
土方が見たがっていた、満開の北の桜−。
どこの桜よりも強くてたくましくて、まるで彼のようだ。
銀時はここで何かをしようと、思っているわけではない。
ただ、土方が生きた最後の地を、この目で見たかったのだ。
彼が何を見て、何を感じたのか。
彼と似ている自分なら、わかるような気がした。
彼の想いと一緒に、ここでしばらく生きてみようと思った。
(おわり)
☆あとがき
皆さん、最後まで読んでくださってありがとうございました。
初めての「銀魂」の二次小説でした。
暗くてすみませんでした。
次回、「おまけ」の回では、別の明るいお話になります。
-
2006/08/27 |
- 銀魂 |
- Comment: 2 |
- − | [Edit]
- ▲
連載・銀色旅行4

銀時×土方要素あり です。
過激な表現はありませんが、苦手な方はお気をつけください。
「江戸の夜景」
―君の涙に触れたいよ・・・baby―
「捕らえても、やたらと殺しちゃいけねエって、上の方は言うがな」
「俺達は、そんなまどろっこしいのはご免だ」
「しかも、こんな所で真選組の副長様に出会ったのなら」
土方十四郎を取り囲んだ男達は、彼を空き地へと連れて行き、一斉にすらりと刀を抜いた。
「こいつで決着をつけた方が、いいだろう」
にやにやと笑う男達は、つい最近まで真選組から、世間から逃げ回っていた攘夷志士であろうと土方は見当をつけた。
ならば手加減無用、と土方も刀をゆっくりと抜く。
真選組鬼の副長としての厳しい気が、先程まで、坂田銀時と一緒にいることでまとっていた柔らかな空気を凌駕していく。
その気にあてられたように、男達は動けない。
「来ないなら、こっちから行くぞ!」
彼等は自分達の間を、鬼が走り抜けて行くのを見た。
仲間が二人、血飛沫(しぶき)を噴いて斃(たお)れた。
血を見て興奮した男達が、土方に向かって動きだす。
土方は身を沈めて体を回し、足払いをかける。
数人がそれを避け切れずに、地面に転がった。
すかさずそいつらを蹴り飛ばす。
空き地を囲んでいた塀に、めり込む男達。
尚も襲ってくる男達を、低い位置から突き上げるようにして刀を振るう。
声も上げられずに、また二人ほど血を流してのたうちまわる。
三方向から、敵が向かって来る。
一人を真正面から斬り裂き、もう一人の刃を体をひねってよけながら刀ごと叩っ斬った。
そして三人目は・・・木刀で殴られて地面に沈んだ。
「銀時・・・?」
木刀をちょっと上げて、銀時がにやりと笑った。
「ちぇっ!こいつら、せっかくのいい気分を台無しにしやがって」
土方は忌々しそうに、地面に転がっている男達を見た。
「じゃあ、もう一晩!」
と銀時は、人差し指を立てて片目をつぶった。
「けど・・・」
土方が渋るのに、
「だって、最後がこれじゃあ」
と銀時が言いかけて、口をつぐむ。
最後という言葉が、重かった。
「とにかくさ、駄目だ。
このまま行かせられないだろ、やっぱり。うん」
銀時は、土方の腕を掴むとずんずん歩き始めた。
駅前のホテルの最上階の部屋を、銀時はとった。
懐からくしゃくしゃになった札を取り出して、一枚一枚丁寧に皺を伸ばしてフロント係の女性に渡す。
あと一枚、札が足りない。
「やめよう」
と土方は、銀時の袖を引っ張った。
もう、彼にも金がなかった。
銀時はブーツを片方脱ぐと、逆さまにして振った。
綺麗に畳まれた札が出て来た。
フロント係の女性は顔をしかめたが、キーを渡してくれた。
それを真面目な顔で銀時は受け取り、エレベーターに向かった。
土方がその後ろをついて行く。
エレベーターのドアが閉まった途端、二人で腹を抱えて笑った。
「おまえ、ありゃあ、臭うぞ!
水虫も、ついていたんじゃないか」
「笑うな!アレは最後の砦だったんだぞ!
それに俺は、水虫じゃねエ」
エレベーターのドアが開いたので、笑うのを無理矢理止めた。
それでも、二人は部屋の前まで、くすくすと時折、声を洩らしながら歩いて行った。
部屋に入ると、銀時は灯りを消して、大きな窓にかかっているカーテンを開けた。
江戸の煩雑な夜景が、広がっていた。
「見ろよ。おまえが命がけで護ってきた、江戸の街だ。
自慢して、いいんだぜ」
窓に近づいて土方は、街の方へと両の手を伸ばす。
抱きしめるように。
「江戸を落ちる」
きっぱりと土方が言った。
「見納めだな」
と続けて寂しそうに、言葉を繋いだ。
「帰って来いよ、いつか」
銀時の声が、すぐ近くから聞こえてくる。
「待っているから」
その言葉の優しさに打ち抜かれたように、土方はふわりと後ろへ倒れる。
銀時が後ろから、しっかりと彼を抱きとめた。
「負け戦ばかりだが、おまえの剣は全然鈍っちゃいねエ」
「けっ!負けだと?
心はまだ折れちゃいねエよ。
勝負は、これからだ」
「ああ。だから、必ず生き残れ」
銀時の土方を抱く手に、力がこもった。
ひょいと彼を抱えると、ベッドに運んだ。
「三日間だけの恋人ごっこに、つきあわせちまって、悪かったな」
ベッドに横たえられた土方が、謝った。
「いや、遊びじゃ」
と銀時が言いかける口を、土方は手で塞いだ。
「おまえは幸せになれよ、新しい時代で」
土方は、大好きな銀時の銀色の髪を手で梳いた。
「幸せなんて、見えねエよ」
銀時は土方の上に体を重ね、彼の闇のような髪の中へ顔を埋める。
「銀時、おまえは十分苦しんだ。
おまえ達が頑張った攘夷戦争が、やっと今、実を結ぼうとしている。
幕府はもう、消えていく運命だ」
土方の低い声が、銀時の耳をくすぐる。
銀時が顔を上げようとするのを、土方が頭を抱え込み、自分の胸に押しつける。
「てめエ、まさか、死ぬつもりじゃあ」
銀時のくぐもった声には、怒りが感じられる。
ふっと土方が力を抜く。
頭を上げた銀時に、土方は素早く口づけた。
深く、深く・・・。
ようやく唇を離した土方に、
「十四郎、ずるいぞ・・・」
と銀時はうめいた。
「もう、何も言わないで・・・くれ」
辛そうな土方に、
「・・・わかった」
と銀時も、言葉を呑み込んだ。
土方の腕が、銀時の背中をかき抱く。
自分の感情を、ましてや涙を彼に見せるのは、卑怯だと思う。
それで彼を縛ってしまったら、彼は自分のいない世界で生きていくことができなくなるのでは、と考えると恐ろしい。
だから、ただ無言で、土方は銀時の腕の中で漂う。
「行かないでくれ」
と銀時が土方の体を愛撫しながら、懇願する。
「ああ」
吐息と共に、土方から返ってくる肯定的な言葉。
それでも信じられないのだろう、何度も同じことを言う銀時。
微笑みながら、返事をする土方。
お互いの身体を慈しむ。
忘れないよう、刻みつけていく互いの愛し方、愛され方。
震えるように銀時がまた、自分の名を呼んだ。
「十四郎・・・」
「銀時、おまえは、俺を最後にしないでくれ。
また誰かを、愛して。
できれば、女がいいな。
おまえに似た銀色の天然パーマの子を、団体で見てみたいよ」
くすりと、土方が笑った。
銀時は答えない。
ぐったりと土方の体の上で、動かなくなっていた。
先程、土方は最後の口づけと共に、睡眠薬を銀時の口の中へ流し込んだ。
銀時に見られないとわかったから、土方は一粒だけ涙をこぼした。
涙に、夜明けの近い江戸の蒼い空が映っていた。
数時間後、ベッドで目を覚ました銀時は、ハッと自分の隣を見た。
そこに、土方の姿はなかった。
「十四郎!」
慌てて体を起こす。
部屋の中に、最早、土方の気配は感じられなかった。
微かに、煙草の匂いがする。
「嘘つき!」
枕を壁に叩きつける、銀時。
「知ってたさ、あいつが行っちまうこと、俺にはわかっていたんだ」
止めることも、一緒に行くこともできなかった自分を、臆病者だと罵った。
土方が戻るのを待っていたかのように、その日、幕府軍は北へと落ちて行った。
(つづく)
「俺達は、そんなまどろっこしいのはご免だ」
「しかも、こんな所で真選組の副長様に出会ったのなら」
土方十四郎を取り囲んだ男達は、彼を空き地へと連れて行き、一斉にすらりと刀を抜いた。
「こいつで決着をつけた方が、いいだろう」
にやにやと笑う男達は、つい最近まで真選組から、世間から逃げ回っていた攘夷志士であろうと土方は見当をつけた。
ならば手加減無用、と土方も刀をゆっくりと抜く。
真選組鬼の副長としての厳しい気が、先程まで、坂田銀時と一緒にいることでまとっていた柔らかな空気を凌駕していく。
その気にあてられたように、男達は動けない。
「来ないなら、こっちから行くぞ!」
彼等は自分達の間を、鬼が走り抜けて行くのを見た。
仲間が二人、血飛沫(しぶき)を噴いて斃(たお)れた。
血を見て興奮した男達が、土方に向かって動きだす。
土方は身を沈めて体を回し、足払いをかける。
数人がそれを避け切れずに、地面に転がった。
すかさずそいつらを蹴り飛ばす。
空き地を囲んでいた塀に、めり込む男達。
尚も襲ってくる男達を、低い位置から突き上げるようにして刀を振るう。
声も上げられずに、また二人ほど血を流してのたうちまわる。
三方向から、敵が向かって来る。
一人を真正面から斬り裂き、もう一人の刃を体をひねってよけながら刀ごと叩っ斬った。
そして三人目は・・・木刀で殴られて地面に沈んだ。
「銀時・・・?」
木刀をちょっと上げて、銀時がにやりと笑った。
「ちぇっ!こいつら、せっかくのいい気分を台無しにしやがって」
土方は忌々しそうに、地面に転がっている男達を見た。
「じゃあ、もう一晩!」
と銀時は、人差し指を立てて片目をつぶった。
「けど・・・」
土方が渋るのに、
「だって、最後がこれじゃあ」
と銀時が言いかけて、口をつぐむ。
最後という言葉が、重かった。
「とにかくさ、駄目だ。
このまま行かせられないだろ、やっぱり。うん」
銀時は、土方の腕を掴むとずんずん歩き始めた。
駅前のホテルの最上階の部屋を、銀時はとった。
懐からくしゃくしゃになった札を取り出して、一枚一枚丁寧に皺を伸ばしてフロント係の女性に渡す。
あと一枚、札が足りない。
「やめよう」
と土方は、銀時の袖を引っ張った。
もう、彼にも金がなかった。
銀時はブーツを片方脱ぐと、逆さまにして振った。
綺麗に畳まれた札が出て来た。
フロント係の女性は顔をしかめたが、キーを渡してくれた。
それを真面目な顔で銀時は受け取り、エレベーターに向かった。
土方がその後ろをついて行く。
エレベーターのドアが閉まった途端、二人で腹を抱えて笑った。
「おまえ、ありゃあ、臭うぞ!
水虫も、ついていたんじゃないか」
「笑うな!アレは最後の砦だったんだぞ!
それに俺は、水虫じゃねエ」
エレベーターのドアが開いたので、笑うのを無理矢理止めた。
それでも、二人は部屋の前まで、くすくすと時折、声を洩らしながら歩いて行った。
部屋に入ると、銀時は灯りを消して、大きな窓にかかっているカーテンを開けた。
江戸の煩雑な夜景が、広がっていた。
「見ろよ。おまえが命がけで護ってきた、江戸の街だ。
自慢して、いいんだぜ」
窓に近づいて土方は、街の方へと両の手を伸ばす。
抱きしめるように。
「江戸を落ちる」
きっぱりと土方が言った。
「見納めだな」
と続けて寂しそうに、言葉を繋いだ。
「帰って来いよ、いつか」
銀時の声が、すぐ近くから聞こえてくる。
「待っているから」
その言葉の優しさに打ち抜かれたように、土方はふわりと後ろへ倒れる。
銀時が後ろから、しっかりと彼を抱きとめた。
「負け戦ばかりだが、おまえの剣は全然鈍っちゃいねエ」
「けっ!負けだと?
心はまだ折れちゃいねエよ。
勝負は、これからだ」
「ああ。だから、必ず生き残れ」
銀時の土方を抱く手に、力がこもった。
ひょいと彼を抱えると、ベッドに運んだ。
「三日間だけの恋人ごっこに、つきあわせちまって、悪かったな」
ベッドに横たえられた土方が、謝った。
「いや、遊びじゃ」
と銀時が言いかける口を、土方は手で塞いだ。
「おまえは幸せになれよ、新しい時代で」
土方は、大好きな銀時の銀色の髪を手で梳いた。
「幸せなんて、見えねエよ」
銀時は土方の上に体を重ね、彼の闇のような髪の中へ顔を埋める。
「銀時、おまえは十分苦しんだ。
おまえ達が頑張った攘夷戦争が、やっと今、実を結ぼうとしている。
幕府はもう、消えていく運命だ」
土方の低い声が、銀時の耳をくすぐる。
銀時が顔を上げようとするのを、土方が頭を抱え込み、自分の胸に押しつける。
「てめエ、まさか、死ぬつもりじゃあ」
銀時のくぐもった声には、怒りが感じられる。
ふっと土方が力を抜く。
頭を上げた銀時に、土方は素早く口づけた。
深く、深く・・・。
ようやく唇を離した土方に、
「十四郎、ずるいぞ・・・」
と銀時はうめいた。
「もう、何も言わないで・・・くれ」
辛そうな土方に、
「・・・わかった」
と銀時も、言葉を呑み込んだ。
土方の腕が、銀時の背中をかき抱く。
自分の感情を、ましてや涙を彼に見せるのは、卑怯だと思う。
それで彼を縛ってしまったら、彼は自分のいない世界で生きていくことができなくなるのでは、と考えると恐ろしい。
だから、ただ無言で、土方は銀時の腕の中で漂う。
「行かないでくれ」
と銀時が土方の体を愛撫しながら、懇願する。
「ああ」
吐息と共に、土方から返ってくる肯定的な言葉。
それでも信じられないのだろう、何度も同じことを言う銀時。
微笑みながら、返事をする土方。
お互いの身体を慈しむ。
忘れないよう、刻みつけていく互いの愛し方、愛され方。
震えるように銀時がまた、自分の名を呼んだ。
「十四郎・・・」
「銀時、おまえは、俺を最後にしないでくれ。
また誰かを、愛して。
できれば、女がいいな。
おまえに似た銀色の天然パーマの子を、団体で見てみたいよ」
くすりと、土方が笑った。
銀時は答えない。
ぐったりと土方の体の上で、動かなくなっていた。
先程、土方は最後の口づけと共に、睡眠薬を銀時の口の中へ流し込んだ。
銀時に見られないとわかったから、土方は一粒だけ涙をこぼした。
涙に、夜明けの近い江戸の蒼い空が映っていた。
数時間後、ベッドで目を覚ました銀時は、ハッと自分の隣を見た。
そこに、土方の姿はなかった。
「十四郎!」
慌てて体を起こす。
部屋の中に、最早、土方の気配は感じられなかった。
微かに、煙草の匂いがする。
「嘘つき!」
枕を壁に叩きつける、銀時。
「知ってたさ、あいつが行っちまうこと、俺にはわかっていたんだ」
止めることも、一緒に行くこともできなかった自分を、臆病者だと罵った。
土方が戻るのを待っていたかのように、その日、幕府軍は北へと落ちて行った。
(つづく)
-
2006/08/24 |
- 銀魂 |
- Comment: 0 |
- − | [Edit]
- ▲
連載・銀色旅行3

「鴨川シーワールド」
−そばにいる たとえどんなに 哀しい夢だとしてもかまわない−
朝、坂田銀時が障子を開けると、太陽の光が部屋の中へ一気に射し込んだ。
「すげエ、いい天気だぜ!」
銀時は、まだ床の中にいる土方十四郎にタックルした。
「ぐえっ!」
蛙が潰れたような声に、銀時はあははと笑った。
むっとして布団から顔を出した土方に、銀時は、
「昨夜、おまえを怯えさせた海だって、キラッキラッしているし、波も穏やかだ」
と言って、彼のちょっと寝ぐせのついた黒髪をクシャクシャとかき混ぜた。
旅館の下駄を借りて、海岸を散歩する。
波が二人の足下に寄せては返す。
そんな光景が面白くて、黙って見ていた。
昨夜の二人のようだな、と銀時は思い出して顔を赤らめる。
波に身を任せるような、そんな優しく激しい時間(とき)を過ごしたことを。
宿へ帰って来てから、大浴場へ向かう。
今度は湯の中で、ゆっくりと体を伸ばす。
銀時の傍らで湯がゆらりと動き、土方が寄って来た。
ためらいがちに体を重ねてきたから、腕を背中に回してそっと抱きしめてやった。
言葉は無力だから、自分の肌のぬくもりだけで彼を安心させる。
ふうっと、土方が安らかな吐息を漏らす。
この旅が終われば、彼は再び真選組に、倒れつつある幕府へと戻って行く。
彼は自身が、誰かに頼ったり甘えたりすることを、決して許さないだろう。
また、周りの人間も、彼がそうあるべきことを求めるだろう。
(せめてこの旅が、おまえの心の支えになるように)
そう願わないではいられない銀時だった。
安房鴨川(あわかもがわ)駅で、切符を買おうとする土方の手を、銀時が掴んで止めた。
「今度は、俺につきあってよ」
僅かだが、土方はほっとしたようにうなずいた。
「無料(ただ)なんだぜ」
と銀時はそこを強調しながら、駅から出ている無料の送迎バスに乗り込んだ。
着いた所は、鴨川シーワールドである。
「水族館なんて初めて・・・いや、上様の警護で行ったことがあった、か」
「仕事じゃ、つまんないだろ。
今日は遊びだ、思い切り楽しもうぜ」
銀時のその言葉は、余計だったようだ。
色とりどりの魚が泳ぐ水槽にぴたりと張りついて、土方が子供のように目を輝かせていたからだ。
冷房と見た目の涼しさとが相まって、館内はひんやりと心地よかった。
泳ぐ魚を目で追いながら微笑み、ペンギンやラッコの仕草に小さく「可愛い」とつぶやく土方。
銀時は自分が、そんな彼の姿を懸命に胸に刻み込もうとしていることに気がついた。
彼が生きた証を、写真のように心の中にとっておきたいのか、と愕然とした。
(殺されたって死ぬわけがない、土方が・・・)
彼の強さは、自分が一番良く知っている。
夢中になって水槽に見入っていた土方が、ふっと振り向いて銀時の姿を探す。
彼がそこにいて、一緒に楽しんでいることを確かめるように。
銀時を探す不安そうな目、そして彼を見つけた時の安堵した目が、銀時の心をかき乱した。
土方の目を見ながら近づき、抱き寄せた。
「そばにいる、ずっと。いいだろ?」
「ああ」
それが、土方の精一杯の嘘だと銀時にはわかっていた。
軽く昼食を取った後、シャチのパフォーマンスを見に行く。
「やっぱり男は、最前線で戦うべきだ」
という土方の持論により、最前列に陣取ったので、シャチがジャンプする度に水しぶきを浴びた。
「おまえの天然パーマ、チリチリになってんぞ」
「何言ってんだ、水も滴るいい男!と言ってくれい」
口調は軽かったが、二人共たぶん、言葉のひとつひとつを聞き漏らすまいと必死だった。
まっさらだった未来に、思い出がいろいろな色で塗られていく。
疲れて眠ってしまった帰りの列車の中、二人の体が離れることはなかった。
同じ色の思い出の中に、彼等はいた。
それがいつか、一番哀しい色になる日が来るのだろうか。
始まりの駅に列車が着くと、二人の体が離れた。
「じゃあ」
「またな」
二日間、何かと理由をつけて離れることができなかった男達は、互いに背を向けて歩き出す。
だが・・・未練であろうか、銀時は振り向いてしまった。
すると、土方が数人の男に囲まれて連れて行かれるところだった。
土方は、銀時に助けを求めなかった。
振り向いて彼を呼ぶことができたであろうに、しなかった。
(つづく)
-
2006/08/21 |
- 銀魂 |
- Comment: 0 |
- − | [Edit]
- ▲
連載・銀色旅行2

「海の見える宿」
−運命から逃げない“ひとりじゃない”−
博物館のある城山(しろやま)公園から下りて来ると、町では祭りが始まっていた。
昼間の強い日差しもだいぶ緩やかになり、浴衣の老若男女がそぞろ歩いている。
バスの時間まで小一時間あるので、坂田銀時と土方十四郎も人々の中に入って、祭りの雰囲気を楽しんだ。
そろいの法被に豆絞りの手拭いを粋に頭に巻いて、威勢のいい若者達が山車(だし)を牽いて行く。
土方は銀時の頭のようなふわふわした綿あめを彼のために買い、自分にはたこ焼きを買った。
もちろん、マヨネーズをたっぷりかけてもらうのを忘れなかった。
端の方の比較的マヨネーズの少ないところは、ちゃっかり銀時に食べられてしまったが。
金魚すくいをしている子供達の後ろから、少し熱の入ったアドバイスをしたために怒られ、二人で首をすくめた。
輪投げでキャラメルを狙ったのに、その隣のヘンテコな人形に、見事に輪が入ったと笑い合った。
ひとつひとつのことが、また新しい思い出になっていくのが心地良かったが、怖くもあった。
だから土方は、館山(たてやま)駅で切符を買う時に、銀時に訊いたのだろうか。
「明日は、何か予定があるのか」と。
「何もない。まだ一緒にいられるよ」
そう答えた銀時の声が、心なしか弾んでいるように思えた。
二人、江戸へ向かうものとは反対方向の電車に乗った。
安房鴨川(あわかもがわ)で降りて、海の近くに今夜の宿を求めた。
遅い時間になってしまったが、すぐに食事の支度をしてくれた。
新鮮な海の幸に、二人共夢中で箸を動かしていた。
かさご丸々一匹のから揚げには、驚きながらも、頭からかぶりついた。
大きなおひつも空っぽになり、銀時はその場に倒れた。
土方はその姿に苦笑し、熱い茶を淹れて銀時の前に置いた。
「ありがと」
だなんて、銀時が素直に礼を言うものだから、また笑った。
風呂へ行くと、案外広くて他に客もいなかったので、嬉しくなって泳いだ。
「俺はアレだ、『ビーチの侍』と異名を取ったんだぞ」
「何だソレ?俺なんか、『河童のトシ』って言われてたんだぞ」
他愛ないことを自慢し合いながら、二人共本気で張り合って泳いだ。
「傷、増えたな」
銀時が、土方の腕をとって言った。
土方は彼の視線をたどって、一番新しい腕の傷を見た。
医者などいない戦場(いくさば)で、自分で縫ったものだ。
「なあに、ハクがついていいのさ」
そんな土方の言葉に、銀時は辛そうな顔をした。
頭から湯気をだしながら部屋に戻って来ると、布団が二組並べて敷かれていた。
その白いシーツのまぶしさに、二人共どぎまぎしてしまう。
銀時はテレビを点けて、布団の上に寝転がった。
土方は窓際の椅子に座って、煙草を吸った。
「海が黒い」
夜の海を見ていて、何気なくつぶやいた言葉だった。
それなのに、銀時はすぐに立ち上がって土方の側へ来た。
「闇のような波が、押し寄せてくる」
声が震えて、土方は不覚だと思った。
銀時が、土方の肩に手を置いた。
「おまえは来るな」
土方に言われて、銀時の手が揺れた。
「俺の側につけば、友を殺すことになるぞ」
念を押すように、土方が言えば、
「向こう側にもつかないよ」
と銀時も、淡々と答える。
「おまえを、殺すことになってしまうから」
その言葉だけで、土方には十分だった。
けれども、今まで抑えていたのだろう、銀時の言葉が激しくなる。
「おまえだって、決して逃げられない運命じゃない!」
「ぎ・・・ん?」
銀時は膝をついて、土方の首に腕を回し彼の洗い髪に顔を埋めた。
「だけど、おまえは絶対逃げないんだよな」
「わかっているんじゃないか」
「俺と似ているから」
二人、しばらくそうやって海を眺めていた。
新しい時代へと移り変わるそのあがきの真っ只中に、真選組はいた。
灯りを消して二人、それぞれの布団に入った。
銀時がとりとめのない話をし、時折、土方が相槌を打つ。
そうやってどのくらいたっただろうか、ふっと会話が途絶えた。
その一瞬が永遠に思えた時、銀時の片方の手が伸びてきて土方の手に重なった。
彼の指が、自分の指を一本一本丁寧に絡めとっていくのを、土方は息を詰めて見ていた。
何も言葉はなかったが、その手は土方に「愛しい」と告げていた。
微かに、波の音が聞こえる。
銀時が自分の布団を出て、指を絡ませたまま土方の布団に移ってきた。
土方はゆっくりと、絡み合う二人の白い指から銀時の瞳へと視線を向けた。
激しい波間にたゆたう自分を、すくいあげようとするような優しい目をしていた。
「十四郎・・・」
銀時が初めて自分の名を呼ぶのを、土方は夜明け前のくすんだ青い部屋の中で聞いた。
(つづく)
-
2006/08/19 |
- 銀魂 |
- Comment: 2 |
- − | [Edit]
- ▲
連載・銀色旅行1

今日から「銀魂」出演者2名(坂田銀時・土方十四郎)による「銀色旅行」の連載を始めます・
シリアス&暗めなので、明るくてギャグ満載の銀魂がお好きな方はご注意ください。
尚、「新選組」の史実を参考にしています。
「南総里見八犬伝」
−失われた日々が、蒼く繫がってく−
真選組・鬼の副長、土方十四郎(ひじかたとうしろう)が坂田銀時(さかたぎんとき)の万事屋(よろずや)に現れたのは、八月に入ってすぐのことだった。
市中見廻りの途中にちょっと寄っただけ、といった感じで。
「よう、万事屋の大将、いるか?」
玄関で煙草をふかしている土方の姿は、そう、まるで日常の一部を切り抜いたような光景に、銀時には見えた。
そして友達を誘うように土方は銀時に、旅行に行かないかと言ったのだった。
銀時も、ためらうことなくその申し出を受けた。
二人飛び乗った列車の窓からは、間もなく海が見えて来た。
「あの花見での対決は、凄かったよな」
銀時は駅弁の飯つぶを口から飛ばしながら、矢継ぎ早に喋った。
喋っていないと、この時間がもったいないような気がした。
「あのゴリラ女の前では、近藤さんがチンパンジーに見えたぜ」
「チンパンジーって・・・。酷エなー」
そうやって時々、土方が言葉を返してくれるのが嬉しい。
あの頃はまだ二人共、今より少しだけ若くて、何かと張り合っては喧嘩ばかりしていた。
その不器用さと熱さが、今ではとても懐かしい。
「あの桜、今年も咲いたのかな」
ぽつりと洩らした土方に、
「ああ、咲いたよ。
人間達の騒乱なんて関係なし、ってところだな」
と努めて明るく、銀時は答えた。
「そうか」
と微笑んだ土方が、消えてしまいそうで怖くって、再び銀時は喋り続けた。
館山駅で降り、バスに乗る。
「どこへ行くんだ?」
ここで初めて、銀時は土方に行き先を訊いた。
「子供の頃『南総里見八犬伝』が面白くてさ、何回も読んだ。
その博物館があると知って、ずっと行きたいと思っていたんだ」
「へえ。じゃあ、もしかしておまえって『水滸伝』とか『三国志』にも、はまった?」
「お、よくわかったな」
真選組の頭脳は、既に子供時代に作られていたらしい、と銀時は心の中で感心した。
「俺さ、言えるよ。
仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌だろ」
ちょっぴり土方に対抗するつもりか、銀時はそらんじてみせた。
「へえ、驚いた。よく知っていたな」
「昔、N○Kで人形劇をやっていたんだ」
「え?おまえって幾つ?俺と歳が近いって言ってなかったっけ?」
問い詰める土方をかわして、バスを先に降りて行く銀時であった。
城の形をした博物館への坂道を、二人、のんびりと上って行く。
ヒグラシが、カナカナと鳴いている。
大きなアゲハ蝶が、二人の間を通り過ぎて行くのを眺めた。
平和な光景が、二人の胸に深く沁みていく。
館内では、二人の間で話題に上ったN○Kで放映された人形劇の映像を、ほんの一部であるが見ることができた。
本気なのか冗談なのか、銀時は「懐かしい」を連発していた。
そして土方はというと・・・「グス」と涙ぐんで、銀時を慌てさせた。
それから、くすりと笑った。
本当にいつもながら、この鬼とは思えない言動には驚く。
「ほら、涙拭いて、館内を廻ろうぜ」
屋根の上で戦う二人の男の絵が、彼等の関心を惹いた。
「犬塚信乃(いぬづかしの)と犬飼現八(いぬかいげんぱち)が、初めて出会ったシーンだな」
と土方が解説すれば、
「ふーん、俺達みたいだな」
と銀時が思いを馳せる。
初めての出会いでいきなり刀を交え、そして二度目の出会いでも屋根の上で二人、刀を抜いた。
真選組を護るため、と土方が一途さを通り越し狂暴な目をして襲いかかってきた姿を、銀時は昨日のことのように覚えている。
(おまえは今、何を護るために戦っているんだ?)
銀時の視線を感じて、土方が振り向いた。
「あの頃が一番・・・」
「ん?」
「いや。昔のことを言っても、せんないことだ」
目を伏せた土方に、銀時は何も言えなくて、その寂しそうな横顔を見ていた。
(つづく)
−失われた日々が、蒼く繫がってく−
真選組・鬼の副長、土方十四郎(ひじかたとうしろう)が坂田銀時(さかたぎんとき)の万事屋(よろずや)に現れたのは、八月に入ってすぐのことだった。
市中見廻りの途中にちょっと寄っただけ、といった感じで。
「よう、万事屋の大将、いるか?」
玄関で煙草をふかしている土方の姿は、そう、まるで日常の一部を切り抜いたような光景に、銀時には見えた。
そして友達を誘うように土方は銀時に、旅行に行かないかと言ったのだった。
銀時も、ためらうことなくその申し出を受けた。
二人飛び乗った列車の窓からは、間もなく海が見えて来た。
「あの花見での対決は、凄かったよな」
銀時は駅弁の飯つぶを口から飛ばしながら、矢継ぎ早に喋った。
喋っていないと、この時間がもったいないような気がした。
「あのゴリラ女の前では、近藤さんがチンパンジーに見えたぜ」
「チンパンジーって・・・。酷エなー」
そうやって時々、土方が言葉を返してくれるのが嬉しい。
あの頃はまだ二人共、今より少しだけ若くて、何かと張り合っては喧嘩ばかりしていた。
その不器用さと熱さが、今ではとても懐かしい。
「あの桜、今年も咲いたのかな」
ぽつりと洩らした土方に、
「ああ、咲いたよ。
人間達の騒乱なんて関係なし、ってところだな」
と努めて明るく、銀時は答えた。
「そうか」
と微笑んだ土方が、消えてしまいそうで怖くって、再び銀時は喋り続けた。
館山駅で降り、バスに乗る。
「どこへ行くんだ?」
ここで初めて、銀時は土方に行き先を訊いた。
「子供の頃『南総里見八犬伝』が面白くてさ、何回も読んだ。
その博物館があると知って、ずっと行きたいと思っていたんだ」
「へえ。じゃあ、もしかしておまえって『水滸伝』とか『三国志』にも、はまった?」
「お、よくわかったな」
真選組の頭脳は、既に子供時代に作られていたらしい、と銀時は心の中で感心した。
「俺さ、言えるよ。
仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌だろ」
ちょっぴり土方に対抗するつもりか、銀時はそらんじてみせた。
「へえ、驚いた。よく知っていたな」
「昔、N○Kで人形劇をやっていたんだ」
「え?おまえって幾つ?俺と歳が近いって言ってなかったっけ?」
問い詰める土方をかわして、バスを先に降りて行く銀時であった。
城の形をした博物館への坂道を、二人、のんびりと上って行く。
ヒグラシが、カナカナと鳴いている。
大きなアゲハ蝶が、二人の間を通り過ぎて行くのを眺めた。
平和な光景が、二人の胸に深く沁みていく。
館内では、二人の間で話題に上ったN○Kで放映された人形劇の映像を、ほんの一部であるが見ることができた。
本気なのか冗談なのか、銀時は「懐かしい」を連発していた。
そして土方はというと・・・「グス」と涙ぐんで、銀時を慌てさせた。
それから、くすりと笑った。
本当にいつもながら、この鬼とは思えない言動には驚く。
「ほら、涙拭いて、館内を廻ろうぜ」
屋根の上で戦う二人の男の絵が、彼等の関心を惹いた。
「犬塚信乃(いぬづかしの)と犬飼現八(いぬかいげんぱち)が、初めて出会ったシーンだな」
と土方が解説すれば、
「ふーん、俺達みたいだな」
と銀時が思いを馳せる。
初めての出会いでいきなり刀を交え、そして二度目の出会いでも屋根の上で二人、刀を抜いた。
真選組を護るため、と土方が一途さを通り越し狂暴な目をして襲いかかってきた姿を、銀時は昨日のことのように覚えている。
(おまえは今、何を護るために戦っているんだ?)
銀時の視線を感じて、土方が振り向いた。
「あの頃が一番・・・」
「ん?」
「いや。昔のことを言っても、せんないことだ」
目を伏せた土方に、銀時は何も言えなくて、その寂しそうな横顔を見ていた。
(つづく)
-
2006/08/18 |
- 銀魂 |
- Comment: 0 |
- − | [Edit]
- ▲




